存現文[#1]

人やモノの存在・出現・消失を表す文を「存現文」という。「雨が降る」「風が吹く」のような自然現象もこの文型を用いて表現する。
場所を表す名詞+動詞(了/着)+不定の人・モノ

例文

CD243

A:前面跑来了一个人。
B:啊,是小赵。
前から一人の人が走ってきました。
ああ、趙さんですね。


A:你看,学校门口停着救护车。
B:怎么了?发生了什么事吗?[#2]
見て、校門に救急車が停まっています。
どうしたんだろう?何かあったのかな?


A:外面天气怎么样?
B:下雨了。
外の天気はどう?雨が降ってきたよ。

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 存現文とよばれる構文[A+動詞+B]は、場所表現が主語に(=A)、存在・出現・消失する主体が目的語(=B)になり、モノや人の存在・出現・消失を表します。通常の文では、主体は主語になりますから、この構文の語順は特に注意が必要です。この構文は、具体的には、「AにBがある/いる(存在)」、「AにBが現れる(出現)」、「AからBが消える(消失)」という意味を表します。このように、存在・出現・消失を同一の構文で表すことができるのは、中国語の大きな特徴の一つといえます。
存現文は特定の誰かが何かをするのではなく、ある特定の場所で何が起こっているのか(存在・出現・消失)を述べたてる文であり、目的語にはこれまで話題にあがっていない、聞き手にとっては未知の、新情報がくる傾向があります。新情報は、一般に不特定の名詞で表されますが、中国語では、数量詞(数詞は特に“一”)(☞量詞については、第5課文法ポイント➌参照)]で表されるので、存現文の目的語はよく数量詞を伴います。
 存現文において頻繁に用いられ、存在を表す動詞として最も典型的なのは“有”(ある)ですが、より具体的にどのような動作をした結果、そこに存在しているのかを表したいときは“V着”(本課ポイント➊)を用います。たとえば、“桌子上有一本书。”(テーブルに本が一冊ある)は単にテーブルに本があることを表していますが、“桌子上放着一本书。”(テーブルに本が一冊置いてある)にすると、誰かが“放”(置く)という具体的な動作をした結果、そこに存在していることが示されているので、より生き生きとした表現になります。
また、日本語では「雨が降る」のように、「降る」主体である「雨」は主語「ガ格」で表しますが、中国語においては、自然発生的な事象は出現と捉え存現文で表すため、“雨”は動詞“下”の目的語となり、“下雨”という語順になるわけです。そのほかに、「花が咲く」は“开花”、「風が吹く」は“刮风”と言います。日本語では、文ではなく名詞の一部に「降雨」「開花」「積雪」のように類似した構造が見られます。

OK

2

 “发生了什么事”も出現を表す存現文です。

OK