方向補語[#1][#2]

動詞の後ろに方向動詞“上/下/进/出/回/过/起”や“来/去”をつけることにより、動作者や動作対象が移動する方向を示す。“来”は話し手の方に向かってくる動作を、“去”は話し手から遠ざかっていく動作を言う。

方向動詞一覧
CD219


上来 下来 进来 出来 回来 过来[#3] 起来
上去 下去 进去 出去 回去 过去

様態を表す動詞 方向動詞 目的語 方向動詞
跑/走

拿 /带

上/下

进/出

回/过

教室

电脑

手机

进来,出去
跑来,拿去
跑进来,带出去
教室 跑进教室,带回家
教室 跑进教室来,拿出钱来

例文

CD220

A:他们呢?
B:他们都回去了。
彼らは?
彼らはみんな帰っていきました。


A:口渴了。
B:那我拿一杯水来吧。[#4]
喉が渇きました。
じゃあ私が水を1杯持ってきましょう。


A:李明跑过来了。
B:可能有什么事吧?
李明さんが走ってきました。
おそらくなにか用事なんでしょう?


A:那本书你带来了吗?
B:带来了。
あの本持ってきましたか。
持ってきました。

1

 動詞の後ろについた方向補語は、一語の移動動詞から成る単純方向補語と、二語の移動動詞から成る複合方向補語があります。移動動詞は、大きく分けて二種類あり、まず一つ目のタイプ(タイプ1とします)には、“上”(上る)“下”(下る)“进”(入る)“出”(出る)“回”(戻る)“过”(越える)“起”(上がる)が、そして二つ目のタイプ(タイプ2)に“来”(来る)“去”(行く)があります。それぞれが、“走”(歩く)や“跑”(走る)といった動作主の移動様態や、“带”(携帯する)、“拿”(持つ)というモノを移動させるときの手段を表す動詞の後ろに置いて単純方向補語となりますが、タイプ1の移動動詞は、その後ろに場所を表す名詞が来なければならないといった制約があります(×走进了。○走进教室了)。また、タイプ1の移動動詞のあとに、タイプ2の移動動詞が来ることもあります。たとえば、タイプ1の“进”(入る)とタイプ2の“来”が組み合わさった“进来”(入ってくる)の“来”は「単純方向補語」です。組み合わせは、常にタイプ1とタイプ2からなり、タイプ1同士が組み合わされることはありません(例:×下出)。移動に関連する場所(たとえば、“教室”、“家”など)に言及する場合は、最初の動詞と単純方向補語の間に入れます(例:进教室来(教室に入って来る)、回家去(家に帰っていく))。以上述べたように、方向補語は非常に複雑な様相を呈していますが、例文の移動表現はきちんと言えるようにしましょう。

OK

2

 上記[#1]で説明した移動動詞のタイプ1とタイプ2を組み合わせて、様態を表す動詞の後に続ける補語を複合方向補語といいます。複合方向補語の種類は、教科書の方向動詞一覧の二音節のものを参照にしてください。場所を表す名詞を用いるときは、“来”“去”の前に置きます(例:走进教室来。歩いて教室に入ってくる)。

OK

3

 “过”は「越える」の意味を表す場合と、何の意味も表さない場合があります。つまり、“过来”は「越えてくる」と「やって来る」、“过去”は「越えていく」と「行く」の意味があります。文脈によって訳し分けましょう。

OK

4

 場所以外の目的語(多くは移動する対象を表す)を述べる場合も、それを文内のどの位置に置くのか注意が必要です。動作がまだ行われていない未実現のときには、場所名詞と同様、“来”や“去”の前に置きます(例:拿一杯水来!一杯の水を持ってきて)。一方、動作がすでに実現している場合には、 “来/去”の前にも後に置くことができます(例:拿来了一杯水。/拿一杯水来了。一杯の水を持ってきた)。
目的語が既に聞き手にとって既知の、特定の事物である場合は、通常“把”構文(☞第11課文法ポイント❶参照)を用います。たとえば、「その傘を持ち帰りなさい」では、“你把伞带回去吧。”となります。

OK