第12回 Alipay、WeChat Payで支払うには中国の銀行に口座がないと不可――日本人家族のとある日常in上海

今日は中国のオンラインペイメントについてお話ししたいと思います。

中国ではAlipayやWeChatPayといったオンラインペイメントが主流です。
今じゃ道端にいる物ごいのような方たちでさえ、自分の電子マネー口座のQRコードを掲げています。
小銭を持ち合わせていないなんて言わせないよ、ってことですね。
スーパーやレストラン、コンビニはもちろん、小さな饅頭屋さんやカートを引いて売っている果物屋さんなどでさえ、オンラインペイメントで支払い可能です。
時々、市場の中に出店している店舗でQRコードがないところがあります。そんなところは近くのオンラインペイメント可能なお店が協力して、立替払いで対応してくれたりします。
とにかく上海はどこもかしこもAlipay、WeChat Payの世界です。

これが当たり前になってしまっているこの国で、AlipayやWeChat Payが使えなかったら生きていけないと思う人たちは山ほどいます。
実は生きていけます。でもオンラインペイメントが利用不可だと至る所で不便。そして損をする。
タクシーにしても、オンラインペイメントと提携しているアプリを利用して乗るのと、流しているタクシーを止めて乗るのと、同じ場所に行くのに料金が違うことがよくあります。
以前、自分の住んでいるマンションから30分くらいのところにある体育館までタクシーで行った時のこと。
家族6人だと一台じゃ乗れないので、一台は自分がアプリを使ってタクシーを呼び、呼んだ時点で行き先も入力し、料金も事前に表示された状態で乗りました。マンションを出たところから乗りました。
同じく夫もマンションを出たところで流していたタクシーを止めて、同じ行き先を指定して現地に向かいました。
途中全く同じ道を使ったかどうかはわかりませんが、自分が先に到着し1分後くらいに夫のタクシーが現地に着きました。
金額は、自分は事前に提示されていた通り74元。夫はなんと108元。この差はなんでしょうか…。
34元というとうちから20分くらいのところにある空港まで行けてしまいます。
この後も同じようなことが何度かあり、最終的に、アプリを使った方が安いという結論に至りました。
タクシーは現金で払えないこともしばしば。
とにかくオンラインペイメントはこちらので生活でとても重要です。
しかし、不可欠、ではないです。事実、現金だけでも生活していけます。
ただ、とにかくあると便利で得をする世界です。

それなら中国に旅行に行こうということになったとして、「よっし、オンラインペイメント自分も使えるようにしとこう」と考えるのは当たり前ですよね。

結論から言います。
旅行者、短期滞在者、もしくは長期滞在者でも中国に口座がなければAlipayやWeChat Payを使って支払いをすることは不可能です。
でもAlipayにしても、アプリをダウンロードして登録もできるし、インターナショナルのクレジットカードも登録できるし、使えるはず、と思いますよね。
そこまでは全て可能です。しかし、実際にAlipayやWeChat Payを使って支払いができるようにActivateするためには実名認証(Real-Name Authentication)という審査を通ってVerifiedにならないと、使えないんです。
その実名認証に、本人名義の中国の銀行の口座情報と口座に連携されている電話番号が必要となります。
他に必要なものは、中国国籍の方であれば身分証明証、外国籍であればパスポートの画像の提示などです。
いくら他の情報を全て提示しても、中国の銀行の口座情報がなければ認証されません。
よって、アプリをダウンロードして登録を済ませ、本名を入力し、パスポート画像をuploadしても、AlipayやWeChat Payで支払うことはできないんです。

銀行口座に登録している電話番号以外の番号を入力しても通りませんし、ファーストネームとラストネームを間違えて入力しても通りません。
また、中国の銀行に口座もあり、電話番号も全て正しく入力したけれど、アップしたパスポートの画像が悪くても通らなかったという知人もいました。この場合は、再度パスポートの写真を撮り直し、uploadして通りました。

WeChat PayもAlipayと同じように、パスポートをアップロードする作業が必要で、中国の銀行に口座がないと利用できません。

中国でVisaやMasterカードといったクレジットカードが使えるお店が少ないとよく聞きますが、Union Pay(银联カード)はものすごく浸透しています。
このユニオンペイのプリペイド式のカードがあり、日本やアメリカなどでも、申請し入手することができます。
このカードは中国の银联カード取り扱い店舗でも使えます。なので、中国に旅行する際にクレジットカードを準備しようという場合は、ユニオンペイのプリペイドカードも一つのオプションとして覚えておくと便利かと思います。

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東山志帆上海交通大学外国語学院博士課程

投稿者プロフィール

 現在、上海交通大学外国語学院博士課程に在籍。研究分野は多文化的アイデンティティー、異文化への順応、教育機関における多文化的アイデンティティーを持つ児童生徒学生たちの脆弱性、異文化理解教育、教員教育、日中間の更なる相互理解など。2018年4月に夫の転勤に伴い、17歳、15歳、13歳、7歳の子供たちと共に上海に移住。中国に来る以前にカナダでの育児経験もあり、著者自身学生時代をカナダで過ごす。日本在住中は塾や公立中学校の英語科非常勤講師としてこれまで約15年間にわたり教育に携わってきた。日本社会、特に教育機関における帰国子女や今後日本でさらに増えるであろう海外からの留学生や移民の子供たちに対する更なる理解やサポートの充実化、日中の相互理解に向けた取り組みや双方の留学生交流の促進などが現在の主な研究テーマ。

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