落語DE中国語 第3幕

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どこの世界にも早合点するものがあるもので、ご隠居さんの話を聞いて早速街の本屋に走ったよし。
買うたのは今はもう絶版の『中国相声傑作選』(東方書店)とカセットテープ。
●「ご隠居、あんた嘘つきやな。」
○「なんやねん、藪から棒に。」
●「そやから、あんた嘘つきやゆうてんねん。」
○「何がやねん、どうしたっちゅうねん。」
●「あんたのゆう通り、中国語の漫才のテキストを買うて、カセットテープを聞いてんねんけど、全然しゃべられるようになれへんがな。いったいどないなってまんのや。」
○「おまはんとゆうやつは、そやから待てゆうたんやが、まあ、ゆうてもせんない。この間話したのは一番大切な心がけゆうもんでな、実際にはもうちょっと話があったんや。」
●「そやったんかいな、それを早く言わかいな。」
○「そやからゆうてんのやが、まあええ、それでどうやった、ぎょうさん聞いたんやけれどしゃべられへんっちゅうのんか?」
●「そうでんがな、わたい、朝から晩までカセットテープ聞いてまんのや。夜寝るときにも睡眠学習っちゅうやつですか、カセットかけっぱなしで『ビッグデータ』作ろう思て。」
○「そうか、それで耳で聞いて、中国語の漫才の意味はわかってるんかいな。」
●「そんなもんわからしまへんがな。あんたがただ聞くだけでええゆうさかい。」
○「ほんまにおまはんとゆうやつはせっかちなやっちゃな。ええか、落語を聞いたり見たりする時、おまはん、意味はわかるか?」
●「そらわかりまんがな、そやかて日本語やからもう全部わかりますがな。」
○「ほんで、中国語は?」
●「わかりまへん。」
○「おかしいやろ?」
●「何が?」
○「何がて、中国語をマスターするために落語が役に立つとわしゃゆうたわな。」
●「はあ、いいはりました。」
○「噺家が落語を『三遍稽古』で身に付けるのには、それまでに『ビッグデータ』を身体に染み込ませたからやとゆうたわな。」
●「いいはりました。」
○「その『ビッグデータ』ゆうんは、落語でも、言葉だけやのうて、間(ま)や、身振り手振りや目に見えんものも含めるゆうたな。」
●「いいはりました。」
○「それは『ビッグデータ』にならんといかんがな、そのためには聞いて意味がわからんようなもの聞いても『ビッグデータ』にはならんがな。」
●「そやかて、目に見えんものが大切やと。」
○「そらそうやけど、あまりにも基礎がないやないか。それをこないだゆおう思たんやけどさっさと帰ってしもたやろ。」
●「そうでしたか。こりゃまた失礼しました。」
○「まあええわ。話の続きをするから聞いてくれるか。」
●「もちろんでございます。」
○「急に丁寧になりよってからに。ほんま憎めんやっちゃな。ほたらゆうで。」
●「どうぞお願いします。」
○「『ビッグデータ』を作るために、できるだけぎょうさんの会話を中心とした中国語を見たり聞いたり接したりするんやが、そもそも意味がわからないものを聞いても『ビッグデータ』にはならへん。そうやな。」
●「それはもうよ~わかりました。」
○「それやったら、どうやったら見たり聞いたり接したりする中国語の意味がわかるようになるんや?」
●「それはもう勉強せなあかん。」
○「そういうこっちゃ、中国語の場合やったらまず、発音からや。発音をマスターするとピンインゆうて、中国語の漢字の読み方がわかる。これがわかれば次は文法や。」
●「なんや学校の勉強みたいでんな。辛そう!」
○「いやいや、発音ゆうても、日本語にない音はわずかなもんや、それに文法ゆうても基本がわかればあとは単語やフレーズゆうて、いくつかの単語が並んだものを『ビッグデータ』にすればええわけや。文法はここに『中国語検定徹底対策3級』という本がある、これ一冊まるまる覚えたらもう十分や。」
●「ほぉ~関西大学中国語教材研究会編で書いたぁありますな。」
○「そや、わしの母校でもある。」
●「そうでしたんか、ご隠居はんは大学出ぇやったんですか。これはおみそれしましました。」
○「そんなたいしたもんやないがな。そやけどええ先生がぎょうさんいてはってな、わしがなんとか中国語をマスターすることができたのもその先生がたのおかげやと思てる。」
●「この本をまるまる一冊かぁ。大変そうやおまへんか。」
○「その本はちょうど辞書のようにつこたらええねん。それで、たとえばNHKの中国語講座なんかやったら気楽に楽しく学べると思うがどうや?」
●「テレビのんやったらこの間見てみたけど、簡単で面白そうでしたわ。」
○「そうやろ、テレビやったら一年間かけて基本を学べるさかいにゆっくり学ぶことができる。わしなんかもはじめはNHKの講座からはじめたがな。」
●「そうでしたか。ご隠居もはじめはNHKで?」
○「そうや、浪人してた時から学び始めたからな。ラジオとテレビの両方やったな。」
●「同じ内容やからムダやおまへんか?」
○「『ビッグデータ』を作るためやさかいムダなことなんて一つもあらへん。すべてが身体の中に入っていくわけや。」
●「そういうもんなんですね。」
○「そういうもんや、そして同じような内容をやっていると、たとえばテレビを見ていて、『あれ?この表現はラジオでもゆうてたな』ってふと気づくんや。こうなると記憶が更に深く定着する。」
●「定着しますか?」
○「あぁ、定着するなぁ。」
●「ご隠居、えらいお世話になりました。おかげでよぉ~わかりました。これから早速、本屋さんへ行って、NHKの中国語講座のテレビとラジオ、両方のテキストを買おて、勉強しますわ。」
○「あぁ、そうしなはれ。ついでにゆうとくと、そのNHKの講座やけど今はインターネットでも学ぶことができる。おまはん、インターネットはしてるか?」
●「もちろんですがな。」
○「ほたら、インターネットで『NHKゴガク』で検索してみ、登録したらラジオのストリーミングっちゅうやつで聞けるようやさかいな。」
●「おおきに、探してみまっさ、ほなさいなら。」
○「あぁ、きぃつけてな。」

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山岡 義則

山岡 義則

投稿者プロフィール

中国語との付き合いは1979年から。
関西大学で中国語をマスターし、その後中国ビジネスの世界へ。
モノづくりを中心に日中間で活動。
日本人がどうやったら効果的に中国語をマスターできるかを追いかけています。

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