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第32回 元首たちの古典教養その17 ーー忧民之忧者,民亦忧其忧|現代に生きる中国古典
- 2017/8/14
- 現代に生きる中国古典, 西川芳樹
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元首たちが引く古典には為政者としての心構えについて述べたものが多く見られます。そして、古典の名言を行動の規範とするのは、何も国を統治する最高指導者たちだけではなく、一般の役人も同じです。
2007年の春節、首相であった温家宝は人民大会堂で新年の挨拶をし、そのなかで次のように語りました。
温家宝が引いた「忧民之忧者,民亦忧其忧」は『孟子』の「梁恵王章句下」に見える一節を引いたものです。以下に該当部分の前後を示します。
孟子が宣王に説いたのは、為政者が民に寄り添って、はじめて民も為政者を支持してくれるということです。温家宝は年頭の挨拶に当たり、役人としてのあるべき姿を部下たちに示したのでした。
この言葉は、為政者や役人だけにとどまらず人の上に立つ者すべてにあてはまる言葉ではないでしょうか。組織のリーダーは、下の者に認められ、その協力を得なければなりません。しかし、上に立つ者が自分の利益ばかりを追求していては、下に従う者の支持を得て、その力を発揮させることは難しいでしょう。リーダーは下の者と苦楽を共にしてその心を掴むことが求められているのではないでしょうか。
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