中国語医療通訳トレーニング:第14回 脳神経外科/脑神经外科

今回は脳神経外科での通訳です。
患者は60代の男性が来院しました。

脳神経外科/脑神经外科

(在诊察室)
医生:田先生,你好。我是今天脑神经外科的大夫,我叫石井。请多关照。
患者:石井大夫,你好。请多关照。
医生:今天你哪里不舒服?
患者:一个小时前,吃饭的时候,我忽然看到四根筷子。另外,头也特别疼。现在感觉稍微好点儿了,但还是担心,所以就来医院了。
医生:这样啊,还有什么其他症状吗?
患者:这样说起来的话,30分钟前,我有点想吐。
医生:知道了。恐怕是脑部出现什么问题了。请尽快拍一下头部的CT。
患者:好的。

(头部CT拍摄完毕,回到诊察室)
医生:田先生,辛苦了。咱们直接进行检查结果说明。你得的是“蛛网膜下腔出血”。
患者:这究竟是一种什么病啊,我要不要紧啊。
医生:没怎么听说过的病名,是吧。我想“中风”你一定听说过,“中风”可以大致分为“脑梗塞”、“脑内出血”、“蛛网膜下腔出血”这三类。田先生得的是“蛛网膜下腔出血”,请看头部CT的画像,脑动脉上的动脉瘤破裂,导致脑和蛛网膜之间充满血液。现在已经出现症状了,所以得紧急住院,保持安静的基础上,做进一步检查。必要的时候,要采取外科手术进行治疗。
患者:这样啊。那请让我住院吧。今后的治疗也拜托了。
医生:咱们一起加油吧。接下来,请在住院窗口办理紧急住院手续。

(日本語)
(検査室)
医師:田さん、こんにちは。今日の脳神経外科担当の石井と申します。よろしくお願いします。
患者:石井先生、こんにちは。よろしくお願いします。
医師:今日はどうされましたか?
患者:1時間前、ご飯を食べている時、急にお箸が4つに見えました。それから、頭もとても痛くなりました。今はちょっとましになりましたが、心配で来ました。
医師:そうですか。他に何か症状がありましたか?
患者:そういえば、30分ほど前、少し吐きそうになりました。
医師:わかりました。おそらく脳内に何か問題が出たのでしょう。急いで頭部CTを撮ってください。
患者:分かりました。

(頭部CT撮影後、診察室に戻る)
医師:田さん、お疲れ様です。早速ですが、検査結果を説明します。病名は「クモ膜下出血」です。
患者:一体どんな病気なんですか。私は大丈夫ですか。
医師:聞きなれない病名だと思います。「脳卒中」は聞いたことがあると思いますが、「脳卒中」は大きく「脳梗塞」、「脳内出血」、「クモ膜下出血」に分かれています。田さんは「クモ膜下出血」です。頭部CTの画像をご覧ください。脳の動脈にできた動脈瘤が破れてきて、血液が脳とクモ膜の間にあふれています。今はもう症状が出ていますので、急いで入院して、安静にした上で、精査しなければなりません。必要があれば、外科手術で治します。
患者:そうですか。では、入院させてください。今後の治療もよろしくお願いします。
医師:一緒に頑張りましょう。では、緊急入院となりますので、入院受付のところで手続きをお願いします。

単語

吐 tù:吐く
恐怕 kǒngpà:おそらく
尽快 jǐnkuài:できるだけ早く
蛛网膜下腔出血 zhūwǎngmóxiàqiāngchūxuè:くも膜下出血
中风 zhòngfēng:脳卒中
脑梗塞 nǎogěngsè:脳梗塞
脑内出血 nǎonèichūxuè:脳内出血
动脉瘤 dòngmàiliú:動脈瘤
破裂 pòliè:破裂する

ポイント

中国語の“中风”は“脑血管意外”(脳血管障害)の民間での言い方です。日本語でも「中風」といいますね。この“中”は「当たる」という意味で使われていますので、第4声で“zhòng”と発音します。風はかつて、病気を運んでくるものだと考えられていたため、このような表現になりました。「脳卒中」の「中」も同じです。
クモ膜下出血は中国語で“蛛网膜下腔出血”といいます。脳を覆うクモの巣のような形状の「クモ膜」の下にある空洞に出血が生じる病気ですので、中国語では“腔”の文字が入ります。
日本では、「脳梗塞」も「ラクナ梗塞」、「アテローム血栓性梗塞」、「心原性塞栓症」に分かれています。直訳すると、“腔隙性脑梗塞”,“动脉粥样硬化脑梗死”,“心源性栓塞”といいます。聞きなれない病名ですので、事前に覚えておいたほうがいいでしょう。

中国語・医学監修  李宏(医学博士・神戸大学大学院医学研究科内科系講座放射線医学分野研究者・神戸東洋医療学院講師)
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岡本悠馬 & Wen Jun

岡本悠馬 & Wen Jun中日医療通訳

投稿者プロフィール

岡本悠馬
神戸市外国語大学中国学科卒業。在上海日本国総領事館勤務を経て、中国語翻訳者・鍼灸師となり、神戸市に「南天はり灸治療院」を開院。中国語・医療知識を生かし、医療通訳者としても活動している。現在は神戸市外大にて専攻/兼修中国語、医療中国語ならびに医療通訳・コーディネーター入門の講義を担当。大阪大学医療通訳コースでも講師を務める。著書・訳書に『キクタン中国語【上級編】』、『海角七号―君想う、国境の南』などがある。

Wen Jun
中国の大学で修士課程(高等教育学)を修了した後、日本の大学院に留学。対台貿易営業等に従事した後、医療日本語に関心を持ち、大阪大学医療通訳養成コースを修了(第1期)。現在は大阪府内の病院にて医療通訳と医療事務に従事している。日本病院会診療情報管理士通信課程在学中。普通話水平測試(中国語標準語水準検定)1級乙レベル。

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