中国語医療通訳トレーニング:第11回 糖尿病/糖尿病

今回は、糖尿病の医療通訳です。
50代男性、健康診断で血糖値が高いことを指摘されて受診しました。

糖尿病/糖尿病

(在诊室)
医生:张先生,你好。我是糖尿病内科的大夫,我叫佐藤。请多关照。
患者:佐藤大夫,你好。请多关照。
医生:今天你哪里不舒服?
患者:一个月以前做了体检,血糖值高,建议我到医院看看。
医生:这样啊,体检报告可以给我看一下吗?
患者:好的,给您。
医生:血糖值是140mg/dl啊,正常人群的空腹血糖值是80〜110mg/dl。张先生的数值确实有点高。今天再验一下血,好吗?想测一下糖化血红蛋白这个指标。糖化血红蛋白这个指标可以表示到验血日为止过去的一到两个月的血糖平均值。即使验血日的血糖值正常,但糖化血红蛋白值高的话,可以说明过去的一到两个月中,有过高血糖。
患者:好的,我知道了。

(验血完毕,回到诊察室)
医生:张先生,您辛苦了。检查结果出来了。张先生的糖化血红蛋白值是8%。正常人群的值不到6%。所以,今后请一定注意。另外想问一下,张先生知道糖尿病是什么病吗?
患者:只是听说过这个病的名字,具体的情况不清楚。
医生:糖尿病是血液中的葡萄糖持续异常高值的疾病,是因为一种叫做胰岛素的激素分泌减少,或者不能起到正常作用。根据患病原因不同,糖尿病可以分成四大类,但是大部分的糖尿病都是跟生活习惯密切相关的2型糖尿病。张先生也是2型糖尿病。由于肥胖,暴饮暴食,运动不足等不良生活习惯,诱发了糖尿病。如果将糖尿病放置不管的话,会引起并发症。典型的并发症是神经障碍、肾病、视网膜病变。另外,还有心肌梗塞、心绞痛、脑梗塞、白内障、牙周病、糖尿病坏疽等慢性并发症。
患者:是吗,太可怕了。那么,我该怎么办呢?
医生:张先生的话,请先在饮食和运动上努力吧。饮食的话,不要吃过量,吃的量不要超过身体所需的能量。注意各种营养的平衡。一天三顿饭要尽量在每天的同一时间吃。运动的话,一天两次,一次15到30分钟,以此为参考。先从步行运动开始吧。如果,饮食和运动都没有效果的话,再考虑药物治疗。另外要定期测量血糖值。下次的话请一个月之后再来。还有什么问题吗?
患者:好的。没有问题。我会在饮食和运动上努力的。谢谢大夫。
大夫:请多保重。

(日本語)
(診察室)
医師:張さん、こんにちは。糖尿病内科医師の佐藤と申します。よろしくお願いします。
患者:佐藤先生、こんにちは。よろしくお願いします。
医師:今日はどうされましたか?
患者:1か月前の健康診断で血糖値が高いと言われて、受診を勧められました。
医師:そうですか。健康診断の結果を見せていただけますか。
患者:はい。どうぞ。
医師:140mg/dlですか、健康な人の血糖値は食事の前の空腹時で80~110mg/dlです。張さんの数値は確かに高いです。今日、もう1回採血してもいいですか?HbA1cという指標を調べたいと思います。HbA1cという指標は採血した時点から過去1~2か月の血糖値の平均値に関連する検査値です。その時点の血糖値が正常でも、HbA1cが高ければ、過去1~2か月ほどの間、高血糖であったことがわかります。
患者:はい、わかりました。

(採血後、診察室に戻る)
医師:張さん、お疲れ様です。結果が出ました。張さんのHbA1cは8%です。健康な人は6%未満ですので、これから十分注意してください。ちなみに、張さんは糖尿病ってどんな病気かご存知ですか。
患者:名前を聞いたことはありますが、詳しくは知りません。
医師:糖尿病というのは、インスリンというホルモンの分泌が減ってしまったり、働きが不十分なため、血液中にブドウ糖が異常に多い状態が続いてしまう病気です。原因によって、大きく4種類に分かれていますが、ほとんどは生活習慣と大きく関わる2型糖尿病です。張さんもそうです。肥満、過食、運動不足など悪い生活習慣によって糖尿病を発症させてしまうのです。糖尿病を放っておくと、合併症が起こってきます。代表的なものは、神経障害、腎症、網膜症です。他に、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、白内障、歯周病、糖尿病壊疽などの慢性合併症もあります。
患者:そうですか、怖いですね。では、私はどうしたら、よろしいですか。
医師:張さんの場合はまず食事と運動を頑張ってください。食事は食べ過ぎないように、エネルギー量を守ること。栄養のバランスをよく考えること。1日3食を決まった時間に食べること。運動だと、1回15~30分、1日2回を目安にしてください。ウォーキングからはじめましょう。もし、どうしても食事と運動が効かない場合は薬を考えましょう。定期的に血糖値を測ってください。次回は1か月後に来てください。ほかに何か質問がありますか?
患者:わかりました。大丈夫です。食事と運動を頑張ります。ありがとうございます。
医師:お大事に。

単語

糖尿病 tángniàobìng:糖尿病
体检报告 tǐjiǎn bàogào:健康診断結果
血糖值 xuètángzhí:血糖値
空腹 kōngfù:空腹
糖化血红蛋白 tánghuà xuèhóngdànbái:HbA1c
葡萄糖 pútáotáng:ブドウ糖
胰岛素 yídǎosù:インスリン
激素 jīsù:ホルモン
肥胖 féipàng:肥満
暴饮暴食 bàoyǐn bàoshí:過食、暴飲暴食
诱发 yòufā:発症させる
放置不管 fàngzhì bùguǎn:放置する
并发症 bìngfāzhèng:合併症
神经障碍 shénjīng zhàng’ài:神経障害
肾病 shènbìng:腎症
视网膜病变 shìwǎngmó bìngbiàn:網膜症
心肌梗塞 xīnjīgěngsè:心筋梗塞
心绞痛 xīnjiǎotòng:狭心症
脑梗塞 nǎogěngsè:脳梗塞
白内障 báinèizhàng:白内障
牙周病 yázhōubìng:歯周病
糖尿病坏疽 tángniàobìng huàijū:糖尿病壊疽 
平衡 pínghéng:バランス

ポイント

 日本語の「健康診断」は中国語で“体检”といいます。「身体を検査する」という意味です。
 糖尿病の通訳をするときには、「HbA1c」(ヘモグロビン・エーワンシー)という単語がよく出てきます。これは赤血球のヘモグロビンがどのくらいの割合で糖と結合しているかを示す数値で、中国語で“糖化血红蛋白”といいます。覚えておくと役に立ちます。そして、糖尿病そのものよりも合併症のほうが恐ろしいので、糖尿病と関連する合併症のほうも事前に調べておいたほうがいいでしょう。

中国語・医学監修  李宏(医学博士・神戸大学大学院医学研究科内科系講座放射線医学分野研究者・神戸東洋医療学院講師)
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岡本悠馬 & Wen Jun

岡本悠馬 & Wen Jun中日医療通訳

投稿者プロフィール

岡本悠馬
神戸市外国語大学中国学科卒業。在上海日本国総領事館勤務を経て、中国語翻訳者・鍼灸師となり、神戸市に「南天はり灸治療院」を開院。中国語・医療知識を生かし、医療通訳者としても活動している。現在は神戸市外大にて専攻/兼修中国語、医療中国語ならびに医療通訳・コーディネーター入門の講義を担当。大阪大学医療通訳コースでも講師を務める。著書・訳書に『キクタン中国語【上級編】』、『海角七号―君想う、国境の南』などがある。

Wen Jun
中国の大学で修士課程(高等教育学)を修了した後、日本の大学院に留学。対台貿易営業等に従事した後、医療日本語に関心を持ち、大阪大学医療通訳養成コースを修了(第1期)。現在は大阪府内の病院にて医療通訳と医療事務に従事している。日本病院会診療情報管理士通信課程在学中。普通話水平測試(中国語標準語水準検定)1級乙レベル。

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