- Home
- 中国語学エッセイ
カテゴリー:中国語学エッセイ
-
「あるもの」と「ないもの」と
こちら側に「ある」からといって、相手側にも必ず「ある」と考えるのは、相手を無視した一方的な考え方です。相手も自分と「同じ」はずと考えるのは、「傲慢(ごうまん)」ですらあります。このことが現在の世界の多くの争い事や悲しい… -
中国人のケンカ
「百年河清を待つ」といわれます。百年のスパンで物事を考える中国人の思考方法を表現したものです。そういう一面は確かにあります。 例えば、解放後の中国は発音表記にローマ字(ピンイン)を採用しています。これは単に発音表記だ… -
総合的ということ
中国語はよく「総合的」な言語だといわれます。次の単語を見てください。 “矮”=short in stature “晚”=the time is late “味”=taste / flavor … -
中国語学エッセイ:「傘」「ピストル」「いす」に共通するもの
中国語の「具象性」を最もよく表しているのが「量詞」といわれるものです。 日本語にもこれと類似した「助数詞」があり、数を表す語に添えて、何の数量であるかを示します。ただし、中国語と日本語では使い方に若干違いがあります。… -
チャイナタウン――「中国のニオイ」
ロンドンやボストン、ロサンゼルス、サンフランシスコなどに行くと「チャイナタウン」と呼ばれる地域があります。「チャイナタウン」までいかなくても、例えばローマのテルミニ駅の付近やドイツのシーメンスなどに行くと、そこはもう中… -
中国の絵画と西洋の絵画――「散」と「焦」
中国人の思考法が「平面的」なのに対してヨーロッパのそれが「立体的」であることに触れましたが、その特徴は絵画にも表れています。 中国の伝統的な水墨画や水滸伝、三国志などの「挿し絵」には、西洋画に見られるような「陰」が… -
漫画的な言語――「孤立語」
世界の言語を「孤立語」「屈折語」「膠着語」という3種類に分けることがあります。「孤立語」の代表は中国語で、「屈折語」の典型はラテン語、「膠着語」は日本語や朝鮮語などです。 「孤立語」とは、一つ一つの語が独立していて… -
“Give and take”――中国人との付き合い方
昔は、信頼できる中国人の友達を1人持てば、世界中どこでも何不自由なく旅ができる、といわれていました。その友達が次の国にいる友達と連絡を取ってくれ、その次の国ではまたその友達が面倒を見てくれる、という具合に、「友達の友達… -
貸す、借りる――「対立物の統一」
古代中国人の思考方法に「陰陽」という考え方があります。この世のあらゆるものを「陰」と「陽」という2つの相対立するものに分ける考え方です。例えば、「男と女」「太陽と月」という具合です。面白いのは、物事を単に対立する2つに… -
「寿」
中国語で「トイレに行く」は“去厕所”ですが、“去解手”や“去一号”と言う場合もあります。「大便」の場合は、“出恭”や“方便方便”などと言ったりもします。つまり「遠回し」な言い方なのですが、次のようなものも、その類に入り… -
“I don’t think so.”――字幕の薦め
語学の勉強に「映画」は非常に役に立ちます。それは映像を通して感動が高まることで人間の記憶にとどまりやすいからです。私は英語の勉強をかねて、毎日、できる限り1本は、映画を見ることにしています。最近は、ケーブルテレビや C… -
「さようなら」と“再见”
だいぶ前の台湾の映画に「さようなら・(追加)再见 また逢う日まで(削除)」というのがありました。「さようなら」も“再见”も、それぞれ人と別れるときの言葉です。でも、この2つの表現はどこか微妙に違っているように思います。… -
「飲む」のいろいろ
中国には「方言」がたくさんあり、上海語や広東語、北京語ではまったく別の言語といってもいいくらいの差があります。 「お茶を飲む」という言い方を見てみると、“喝茶”“吃茶”“饮茶”という、大きく分けて3つの言い方が存在… -
「落石注意」――「隕石(いんせき)」のこと
日本では山間部を歩いていると「落石注意」という標識をよく見掛けます。ところで、この「落石」とはどういう意味でしょうか。「落ちてくる石」でしょうか。実はそうではありません。これは「石が落ちる」ということなのです。 「… -
日中同形語――中国語は外国語です
「中国語は漢字を使っているから、聞いてわからなくても書けば通じるし、新聞も見ればだいたいの意味はわかる」「旅行に行っても困らない」という話を聞くことがあります。でも、本当にそうなのでしょうか。実際に中国語を学習している… -
ひげを吹く
中国語で怒りを表現するときの言葉として“吹胡子瞪眼”というものがあります。“瞪眼”(目をむく)のはわかりますが、“吹胡子”(ひげを吹く)は日本人にはなじみがないかもしれません。昔の中国の「老先生」は「ひげ」をたくわえて… -
「うさぎとかめ」
「うさぎとかめ」の話はよく知られたイソップの寓話(ぐうわ)の一つです。イソップの中国語訳の最初は明代のヨーロッパ人宣教師によるものです。最も有名なのは、1840年にイギリス人のロバート・トームによって中国語に訳された『… -
おならの話
「出物腫れ物、所嫌わず」といいますが、日本人と中国人、あるいはアメリカ人では「おなら」に対する感覚が微妙に異なるようです。アメリカに居たときもそうですが、中国でも、書店で隣に立っている人が、突然「ぶぶっ」とおならをした… -
No と言えない日本人
こういったタイトルの本が以前に出たことがありますが、確かに日本人は“No”と言うのが苦手なようです。 アメリカの図書館では、利用者はカバンを持ったまま書庫に入ることができます。ただし、出るときには必ずカバンの中身をチ… -
右脳で学ぶ外国語――夢の中で中国語を!
言語表現は人の「脳」で行われますが、人の脳には左と右があります。言語をつかさどるのは、「左脳」ですが、左脳だけ使っていたのでは、なかなか上達しないものです。目で読むのは「左脳」を使っています。日本の外国語教育は、これま… -
あなたは昨晩、何時まで起きていましたか。
これを中国語で言おうとすると、上級者でも結構大変です。では、「郵便局は何時まで開いていますか」はどうでしょう? 邮局开到几点? もちろん、これも正しい中国語でしょう。でも、中国語での「普通」の表現とし… -
プレゼントに「傘」は禁物
中国人にプレゼントをするとき、気を付けなければならないことがあります。かつての中国では「折りたたみの傘」は珍しく、私も中国を訪れたときによくこの「傘」をプレゼントした覚えがあります。でもこれは非常にまずいことでした。親… -
しゃれ言葉
さて「孔子さまの引っ越し(“孔夫子搬家”)」と掛けて何と解くでしょう? 日本でもこれとよく似たものがありますね。そう「しゃれ言葉」です。「風呂屋の釜」=「お湯だけ」=「言うだけ」というものです。 中国語にもこの「しゃ… -
「すみません」
日本ではお店に入っても「すみません」、ものを買っても「すみません」、人にものを尋ねるときも「すみません」、まさに「すみません」と人に謝ってばかりいるのですが、さて、中国語ではどうでしょう? お店に入って店員さんを呼… -
抽象が苦手な中国語
“telescope”(望遠鏡)のことを今は中国語でも“望远镜”といいますが、かつては“千里镜”といいました。「ものの『本質』」も、今では“本质”といいますが、禅では「眼目」あるいは「眼睛(がんぜい)」といいます。また… -
“圆满”――主人公のいない小説
催し物が滞りなく終了したとき、中国語ではよく“本次大会圆满结束了”などといいます。この“圆满”(円満な)という言葉にも中国人の「物の見方・考え方」が反映されています。中国では「完全」なものの象徴は「円」ですが、ギリシャ… -
声調と音楽の関係
中国語の特徴の一つに声調があることが挙げられます。このことは、中国の音楽と西洋の音楽の違いにも表れています。中国語の詩をそのまま五線譜に表せば、1つのメロディが作られます。つまり中国の音楽は一種の自然発生的なものであっ… -
「饅頭(まんじゅう)」の話
中国の北方(長江以北)の主食は、ご飯よりむしろ「饅頭」です。ただ日本人は「饅頭」と聞くと中に餡(あん)が入ったものを想像しますが、中国の「饅頭」は何も入っていません。いわゆる「蒸しパン」みたいなものです。 ところが… -
“吉尼奥日”=“January”
以前、ボストンに住んでいたとき、バスの中でいつも出会う中国人のおばあちゃんがいました。必死で英語の勉強をしているのですが、あるとき、ふと肩越しにノートを見ると「“吉尼奥日”=“January”」と書いてありました。さす… -
天子は南面する
中国には古来から、「天子は南面する」という言葉があります。中国語でいえば“坐北朝南”です。つまり、天子は「北を背にして座り、南面する」わけです。中国の伝統的な家の造りはすべてこうなっていますし、客を招待したとき、客は北… -
東西南北
中国語の方位の言い方は、日本語や英語とは違います。日本語や英語では「北西の風」とか、「ノースウエスト航空」と言いますが、中国語だと“西北风”“西北航空公司”となります。同様に、「北東」「南西」「南東」は、中国語では“东… -
中国語は身を助ける
世界の人口は約66億といわれていますが、そのうち中国の人口は約13億です。つまり、世界の5分の1の人が中国語を話しているということになります。その上、最近はヨーロッパや日本にたくさんの中国人観光客が訪れるようになり、世… -
中国語学エッセイ:コーヒーを入れる
昔は、中国でコーヒーを注文すると、出てくるのはネスカフェ(“雀巢咖啡”)のインスタントコーヒー(“速溶咖啡”)と相場は決まっていました。今は町にはネットカフェもたくさんあって、若者たちはそこで、無線 LAN でネットサー… -
“下午好”は午後のあいさつ?
最近は中国でも「スターバックスコーヒー」をいろいろな町で見掛けることができます。店に入ると“欢迎光临!”(いらっしゃいませ)と笑顔で迎えられます。“今日咖啡”(今日のコーヒー)や“摩卡”(モカ)など、出てくるものも日本や… -
「おばさん」こんにちは
中国で幼稚園などを訪問すると、かわいい笑顔で“阿姨好!”(おばさん、こんにちは)、“叔叔好!”(おじさん、こんにちは)と迎えられます。帰りには“阿姨再见!”(おばさん、さようなら)、“叔叔再见!”(おじさん、さようなら)… -
白線の「内側」でお待ちください
日本ではホームで列車を待っていると、「白線の内側でお待ちください」という放送が入ります。ところが、これを中国人が聞いてそのまま実行したら大変なことになります。中国人にとっては「白線の内側」とは線路側になるのです。ですから… -
偶数と奇数――指定席のとり方
中国では、映画館や京劇の劇場などは、すべて指定席(“对号入座”)です。もしあなたがカップルで隣り合わせの席を取る場合には、注意が必要です。なぜかというと、中国では例えば「20番」の席と「21番」の席は隣り合わせにはならな… -
9は「苦しい」?
日本語では4や9はあまりいい数字ではないイメージがあります。「4」は「死」に、「9」は「苦」に通じるからです。 ところが、中国語では「9」は悪いイメージどころか、最高の数になります。「数は一に始まり九に終わる」とい… -
“你吃饭了吗?”(ご飯食べた?)
中国語の最もポピュラーなあいさつといえば、“你好!”となるでしょう。この言葉は、最近では、中国人同士でも使われるようになりましたが、以前はもっぱら、外国人に対してのあいさつ言葉でした。では中国人同士ではどうかといえば、“… -
中国語学エッセイ:中国語は英語に近いか
中国語を少し勉強した人は、「中国語の文法は英語と同じ」だとよく言います。しかし、ある部分はそのとおりですが、ある部分はそうではないのです。 英語と同じだと言う人は、その典型的な例として「S-V-O」という語順を挙げ…