○○から読み取る!中国のc文化(4)

今日のテキスト本文

木下:我渴了,先喝点儿水吧。
刘佳:来,请喝水。
木下:这水怎么是热的?
刘佳:你不是要喝水吗?
木下:我想喝凉的水,不是热水。
刘佳:哦,是“冰水”呀,在冰箱里放着呢。

荒川清秀、周閲、塩山正純著『キャンパスライフ中国語』(改訂版第二刷) 第9課より

この課はのどが渇いた木下さんが、劉佳さんに「お水」をちょうだいとお願いするところから始まります。
「お水」と言ったはずなのに、出てきたのは「お湯」でした。ここに日中の文化の違いがあるのです。
日本語では、温度によって、「お水(cold water)」か「お湯(hot water)」かを言い分けますが、
中国語の世界では、冷たかろうと熱かろうとそれは“水”なのです。

そして、中国人にとっての“水”のデフォルトは「お湯」なのですね(エリアによって若干違うようですが)。
中国人にとって、冷たいものを体に入れること(体を冷やすこと)は基本的に良しとしません。
特に妊婦や産後間もない人は、冷たいものに触らないようにして、体を冷やさないようにしています。
 
私も中国の友人の家に行って、”你喝水吗?”と聞かれて、“茶水”=暖かい「お茶」が出てきたり、
「お湯」を入れてくれたりした経験があります。これがまさにデフォルトの違いなんだなと思いました。
みなさんもこのような経験、おありかと思います。
 
一昔前の中国人にとって、「冷たい水」というのは、いわゆる「湯冷ましの水」でした。
現在の中国では、“饮水机”(ウォーターサーバー)があるので、冷たい「お水」も「お湯」も自由に飲めるようになってます。
最近の中国人は冷たいものもそれなりに口にする人もでてきているとは思いますが、
私のよく知る中国人は、今でも冷たい烏龍茶は飲まず、暖かいものか氷なしで飲んでいますね。

yinshuiji
“饮水机”(ウォーターサーバー)、水のタンクは電話をすれば配達してくれます。日本と同じですね。

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中西 千香

中西 千香愛知県立大学准教授

投稿者プロフィール

中西千香(なかにし・ちか) 金沢市生まれ。02~03年北京語言大学留学。2010年愛知大学大学院中国研究科博士後期課程修了。博士(中国研究)。98年より中国語教育に従事、高校や市民講座などで教える。09年愛知淑徳大学外国語教育センター常勤講師、10年愛知県立大学講師、11年より准教授、現在に至る。愛知大学講師を兼任。専攻分野は中国語学、中国語教育学。とくに現代中国語における前置詞の機能の研究、中国語教育におけるIT、レアリア教材の活用に取り組んでいる。著書に『商務日語慣用語表現560(ビジネス日本語慣用語表現560)』(大連出版社、共著)、『気持ちが伝わる!中国語リアルフレーズBOOK』(研究社)、『Eメールの中国語』(白水社)がある。

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