中国には古来から、「天子は南面する」という言葉があります。中国語でいえば“坐北朝南”です。つまり、天子は「北を背にして座り、南面する」わけです。中国の伝統的な家の造りはすべてこうなっていますし、客を招待したとき、客は北側に座ります。となると、左と右の関係も面白い結果が表れてきます。北を背にすれば、左は東で、右は西ということになるわけです。高松塚古墳の「青龍白虎」の壁画もこの関係で説明されます。「左青龍右白虎」といわれますが、「青龍」は「左=東」、「白虎」は「右=西」というわけです。ちなみに、「北を背にする」ですが、「北」は本来「背中」という意味でした。だからこそ「背」という漢字には「北」が含まれているのです。