中国語医療通訳トレーニング:第2回 内科/内科

今回は実際の診察室での会話です。少し単語が多くなりましたが、誰もがかかる風邪の診察です。

 

内科/内科

 


A:您好,您哪里不舒服?
B:大夫,从昨天开始,我不停地打喷嚏、觉得很疲劳、浑身发热。
A:昨天测体温了吗?
B:测了,37.5度。
A:今天早上你感觉怎么样?
B:早上感觉比昨天轻松点。
A:刚才护士测了你的体温,也是37.5度。还有其他不舒服吗?
B:嗓子疼、打喷嚏、流鼻水,也没有食欲。
A:好的。请张开嘴,我来检查一下。嗯,扁桃体发炎了。请把衬衫撩起来,我听听胸部,请平静呼吸。好,请深吸气然后呼出。请转身过去,我听听背部,请深呼吸。好,再来一次,再用力吸气,呼气。好了。
B:大夫,我患的是不是流感什么的?
A:看来不是流感,是普通感冒。
B:有什么区别吗?
A:是的,普通感冒是散发的,流感一般在冬季流行。普通感冒是上呼吸道局部感染,以低热、打喷嚏、喉咙痛、流鼻水为主要症状。而流感的症状是全身性的,比如全身怠倦、关节酸痛、没有食欲、38度以上的高热。从你的症状看只是普通感冒,很快就会好的,不用吃药,好好儿休息,多喝水。
B:明白了,谢谢。
A:请多保重。

(日本語)

A:こんにちは、どうされましたか?
B:先生、昨日からくしゃみが止まらなくて、体がだるくて熱っぽいです。
A:昨日は体温を測りましたか?
B:はい、37度5分でした。
A:今朝は調子はどうでしたか?
B:朝になると昨日より少し楽になっていました。
A:先ほど看護師が体温を測りましたが、まだ37度5分ありますね。他に具合の悪いところは?
B:のどが痛くて、くしゃみ、鼻水が出て、食欲もありません。
A:わかりました。ちょっと見てみますので口を開けてください。ああ、扁桃腺が少し腫れていますね。シャツをめくってください。胸の音を聞きますので、静かに息をしてください。はい、大きく息を吸って吐いてください。向こうを向いてください。背中の音を聞きます。深呼吸して、はい、もう一度。もう一度大きく息を吸って、吐いてください。いいですよ。
B:先生、インフルエンザか何かでしょうか?
A:インフルエンザではなく、普通の風邪のようです。
B:何か違いがあるのですか?
A:はい、風邪は特定の季節に関係なくかかるものですが、インフルエンザは冬に流行します。風邪は上気道の局所的な感染で、主に微熱やくしゃみ、のどの痛み、鼻水といった症状があります。インフルエンザは全身に症状が出ます。全身の倦怠感や、関節痛、食欲がなくなったり、38度以上の高熱が出るといったものです。あなたの場合はただの風邪なので、すぐに良くなります。薬は飲まなくてもいいでしょう。しっかり休んで、たくさん水分を摂ってください。
B:わかりました、ありがとうございます。
A:どうぞお大事に。

単語

内科 nèikē:内科
舒服 shūfu:気分がいい(不舒服:体調が悪い)
大夫 dàifu:医者、(医師を呼ぶときに用いて)先生
打喷嚏 dǎ pēntì:くしゃみをする
疲劳 píláo:疲れる
浑身 húnshēn:全身
发热 fā rè:熱を出す
量 liáng:(長さ、量などを)はかる
测 cè:測定する
体温 tǐwēn:体温
轻松 qīngsōng:楽である
嗓子 sǎngzi:のど
疼 téng:痛い
流鼻水 liú bíshuǐ:鼻水が出る
食欲 shíyù:食欲
张开 zhāngkāi:開く
扁桃体 biǎntáotǐ:扁桃腺
发炎 fāyán:炎症を起こす
衬衫 chènshān:シャツ
撩起来 liāoqilai:(服などを)めくり上げる
用力 yònglì:力を入れる
吸气 xī qì:息を吸う
呼气 hū qì:息を吐く
转身 zhuǎnshēn:体の向きを変える
深呼吸 shēnhūxī:深呼吸
患 huàn:病気にかかる
流感 liúgǎn:インフルエンザ(流行性感冒 liúxíngxìnggǎnmào の略)
什么的 shénme de:(文末に置いて)〜など
感冒 gǎnmào:風邪
散发 sànfā:発散する
呼吸道 hūxīdào:気道
低热 dīrè:微熱
喉咙 hóulong:のど
痛 tòng:痛い
怠倦 dàijuàn:だるい(倦怠 juàndài とも)
关节 guānjié:関節
酸痛 suāntòng:だるくて痛い
吃药 chī yào:薬を飲む
保重 bǎozhòng:体に気をつける

 

ポイント

中国語では職業としての医者の呼称は“医生 yīshēng”ですが、直接呼びかける際には多く“大夫”が用いられます。

体温を測る場合、中国語では“量”と“测”の2種類の動詞を使うことができます。“量”の方が口語的、“测”の方は書き言葉的な表現です。

「熱がある」という場合にも“发热”と“发烧”という2通りの表現があります。患者さんが主観的に熱っぽいと感じている場合は“发热”、実際に熱を測って体温が高かった場合に“发烧”となります。

“多喝水”はそのまま読めば「たくさん水を飲んでください」ですが、中国語の“水”は、日本語でいう「水」に限らず、お湯はもちろん、お茶やジュースなども含めて広く「水分」を指す場合があります。

くしゃみ、鼻水は日本語ではどちらも「出る」と言いますが、中国語ではそれぞれ“打”、“流”という専用の動詞が使われます。とっさに出てこない場合は、“有喷嚏”(くしゃみがある)、“有鼻水”(鼻水がある)としてしまうのも一つの手です。

医療の現場で難しいのは、実は専門用語ではなく、「口を開ける」「服をめくり上げる」「大きく息を吸う」「背中を向ける」といった一般的な動作の表現です。簡単なようですが、とっさに出てこないことがあります。今回出てきた「めくり上げる」という意味の動詞“撩”などは、病院ではよく使いますが、普通に中国語を勉強しているとなかなか接する機会がありませんので、知っておくと便利です。

中国語・医学監修  李宏(医学博士・神戸大学大学院医学研究科内科系講座放射線医学分野研究者・神戸東洋医療学院講師)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
岡本悠馬 & Wen Jun

岡本悠馬 & Wen Jun中日医療通訳

投稿者プロフィール

岡本悠馬
神戸市外国語大学中国学科卒業。在上海日本国総領事館勤務を経て、中国語翻訳者・鍼灸師となり、神戸市に「南天はり灸治療院」を開院。中国語・医療知識を生かし、医療通訳者としても活動している。現在は神戸市外大にて専攻/兼修中国語、医療中国語ならびに医療通訳・コーディネーター入門の講義を担当。大阪大学医療通訳コースでも講師を務める。著書・訳書に『キクタン中国語【上級編】』、『海角七号―君想う、国境の南』などがある。

Wen Jun
中国の大学で修士課程(高等教育学)を修了した後、日本の大学院に留学。対台貿易営業等に従事した後、医療日本語に関心を持ち、大阪大学医療通訳養成コースを修了(第1期)。現在は大阪府内の病院にて医療通訳と医療事務に従事している。日本病院会診療情報管理士通信課程在学中。普通話水平測試(中国語標準語水準検定)1級乙レベル。

この著者の最新の記事

関連記事

コメントは利用できません。

ブログアンテナ

[wp-rss-aggregator limit='5' thumbnails='no' excerpts='no']

Twitter

ピックアップ記事

連載一覧

  1. 【連載】ウチダ教授の中国語学エッセイ

  2. 【連載】実戦の中国語コミュニケーション

  3. 【連載】小紅のなるほど中国

  4. 中国語教育ワークショップ第3弾|榎本英雄先生と沈国威先生による講演!

  5. 【連載】15分チャイニーズ

  6. 12月は関大で中国語三昧!中国語教育学会研究会×第4回中国語教育ワークショップ

  7. 【連載】中国の流行語

  8. 【リレー連載】私の教科書作り

  9. 【連載】中国人である私から見た日本

  10. 【連載】カラダと病気の中国語

投稿の全記事数: 884件

こんな記事はいかが? 未撮影【中国語会話】CS4...

ページ上部へ戻る