第1回 研究例会報告

1.日時
日時:2014年8月30日(土) 12時50分〜16時20分
場所:関西大学図書館3Fグループ閲覧室
参加者:27名

2.タイムスケジュール

12:50-13:00 会の説明
13:00-14:20(80分) メリハリのある授業
〜休憩〜
14:30-14:50(20分) 簡単!使える!メディア教材:Lang-8で中国語作文
14:50-16:00(70分)分かりやすい教え方:“是〜的”構文
16:00-16:20 今後の研究会運営について

3.報告概要

『メリハリのある授業』  阿部慎太郎

 授業にメリハリをつけるには、経験に加えて知識やスキルが必要であり、これは1つの重要な教授法と言える。授業にメリハリをつける方法は無限にあり、教師は1つでも多くの引き出しを持ち、臨機応変に使い分ける必要がある。そこで、本発表では、引き出しを1つでも多く増やすために、参加者が持つそれぞれのメリハリ方法を共有し合うことをゴールに設定した。
 本発表は、第1回目ということもありテーマを広く設定し、様々な場面におけるメリハリ方法について検討した。発表は、まず私のメリハリ方法を8例紹介し、その後、参加者を代表して紅粉氏がいくつかメリハリ方法を紹介した。最後にグループに分かれて、個人のメリハリ方法や授業の悩みなどを共有した。

『簡単!使える!メディア教材:Lang-8で中国語作文』  氷野善寛

 Lang8という言語学習者のためのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を利用した相互添削型サイトについて紹介した。相互添削型のSNSというと少し分かりにくいと感じるかもしれないが、簡単に言うとインターネット上で、ユーザー同士が書いた文章を添削しあうというサービスである。中国語学習に限定したものではなく、英語、日本語をはじめ90言語の学習が可能であるとされる。
 このサービスでは、初回登録時に自分自身の母語と学習中の言語を指定する。そして学習中の言語で日記などの文章を書いていく。書いた文章は指定した範囲の人が見ることができ、その文章を見た、あなたが学習中の言語に指定した言語を母語としている別の誰かが添削してくれる。そして、そのお返しとしてあなたがその人の文章を添削したり、または自分が母語に指定した言語で書かれた他のユーザーの文章を添削する。このように相互に母語話者と非母語話者が添削し合うことで成り立っているのがこのサービスの特徴であり、ユーザー同士で添削し合うことで、語学学習の輪が広がっていき、その反応を見ることも楽しみの一つとなり、文章や日記を書くという行為を習慣化させることが期待できる。またこのサービスでは、添削できる人数は一人に限定されるのではなく、複数のユーザーからの添削を受けることができる。通常は文章を投稿してから数分以内に数件の添削が届き、複数の添削結果を比較することで添削の信頼性を高めることも期待できる。
 今回は実際に作文をリアルタイムで投稿し、どういった反応があるか、またどのように添削されるかについて具体的に解説した。

 中国語学習ジャーナルに当日紹介した内容が掲載されています。

『分かりやすい教え方:“是……的”構文』  紅粉芳惠

 今回は秋学期に教える文法項目の“是……的”構文について、どのように教えれば学生にとって分かりやすいかについて検討、報告をおこなった。
 報告者は普段の授業でも文法項目を数学の公式風に板書し、学生に書かせるようにしている。“是……的”構文についても、まず、最初に説明ポイントを加えた図式を紹介した。続いて、“是……的”構文がどのような場面設定で教えられているかを6冊のテキストで比較検討し、参考例として報告者が使用している場面設定を提示した。“是……的”構文を教える際の疑問点2点について全体で討論した後、初級段階での“是……的”構文の教え方をまとめ、“是……的”構文の使い方が身につくようなペアワーク案を考えるというグループ活動をおこなった(ペアワーク案は http://www.ch-station.org/stmc0001/を参照)。
 最後におまけの情報として、中国語の語順を理解させるために、報告者が今年度担当しているクラスで実施している品詞別にマークを決めて、本文を訳す時に印をつけながら読んでいく方法と動詞述語文の文型を示した補助教材(http://www.ch-station.org/gojun/)の紹介をした。

※報告動画の公開は次回(第2回)から行います。