ロンドンやボストン、ロサンゼルス、サンフランシスコなどに行くと「チャイナタウン」と呼ばれる地域があります。「チャイナタウン」までいかなくても、例えばローマのテルミニ駅の付近やドイツのシーメンスなどに行くと、そこはもう中国の世界です。漢字で書かれたお店の名前や広告、求人募集などがあふれています。そして何よりも、そこには独特の「ニオイ」があります。中国旅行から帰ってボストンバックを開けたときの「あのニオイ」です。民族には民族の「ニオイ」があるのです。チャイナタウンに近付けば、すぐにわかります。にぎやかな中国人たちのおしゃべりや、中華レストラン、中華料理の食材がそろったスーパーマーケットがあるだけでなく、その「匂い」が漂ってくるからです。
このように、外国で自分たちの町をつくってしまうというのは、たぶん中国人だけのように思います。ロサンゼルスには「リトル東京」というものもありますが、規模が違います。そして、何よりも彼らのネットワークは、すごいものがあります。住宅情報や旅行案内、株情報、ありとあらゆる情報が中国人同士で共有されているのです。これが四千年の悠久の歴史をもつ中国人の「たくましさ」なのでしょう。